1. 2009-2010


    淋しい宇宙を飼い慣らす

    深夜零時の心霊現象

    夜明けが忍び込んだ窓
    きみの骨と眠るよ
    へんてこな鳴咽を抱きしめた
    正しい耳たぶの触りかた
    青い爪で傷付けた

    やさしくなりたい
    やさしくなきたい
    予感が眠らせてくれない
    壊れかけの再生ボタン
    この世で一番憎らしい歯ブラシについて

    きんいろの血を舐める
    僕と世界の落とし物
    星にはなり損なったので
    淋しいと云って消えた
    硝子の欠片でいヽかしら

    サイダーは冬をわらう
    歴史はぐるぐる溶けてった
    僕ら愛を発明してゐる
    宵闇に伸ばす手
    カタストロフは頷かない

    春を踏む
    これが滅んだら終わりです
    言葉はきみの気管に染みたがる
    さよならぼくのディレッタント
    瞬きの隙間から溢れた永遠

    宇宙飛行士になりたかったぼく
    悲しみをちぎって食べる月曜日
    まるい瞳のきらめく午後に
    肉体と神秘とエトセトラ
    小さな幸福を見失うまで

    グーで殴ったら「愛してる」の合図
    あの子の落とした沈丁花
    アイラブユーをなぞるくちびる
    進化した猿は月夜に踊る
    細胞に閉じ込められた獣

    ミルク色の朝が滲んだ
    死なないくちづけ
    生命線をなぞる曖昧な指先
    ぼく・わたしのかみさま
    殺風景、貴方が居た

    くびすじに光る
    そのやさしさで燃やしてください
    愛を供述する嘘つき
    リボン結びの少年少女
    冷たいハートにご注意ください

    きみの嘘は夢刺すナイフ
    ボーダーラインは閉じない環
    恋は下着の色をしている
    出来ればぼくにも傷付けさせて
    約束に寂しがる悪い癖

    風が吹いた日
    邂逅前夜
    マシュマロの中のちいさな棘
    名前のないエンドロール
    ぼくはずるくて嘘がつけない

    この部屋の酸素が尽きるころ
    あの娘のお願い聞いてよ神様
    掌から零れ落ちていく夜明け
    足首のキスマークが消えない
    ろくでなしと交わすゆびきり

    さよならの代わりに指を絡めた

  2. 2011-2012


    理想郷に似た色彩
    虹を畳んで手紙を書くよ
    あいつのグッドバイ

    00:00に還る
    夜汽車の爪痕

    お喋り淑女の利口な唇
    坂の上のシルエット

    月の駱駝の背に乗って
    届かない手を高く振る

    閉ざされた秘密を患う

    指先の誤作動
    君とお喋りをしたらココアは冷める

    でんぱ・届かない
    そよ風のブルー

    悪神の芸術論

    フィッシュフォークの存在理由
    或いは呼吸の仕方を忘れた魚

    わがままとチューインガム
    君の憂鬱は僕の夕餉に丁度いい

    サハラ砂漠を一滴の海に変えて
    ぼくは(きみと)幸せになりたい

    楽園は遠く
    掲げた理想は正しく君を蝕んだ

    ばらばらな星達のための祈り
    コインロッカーに置き去りのこころ

    やわらかい棘
    傾斜する日々

    その手に飼われた
    愛の背中に傷痕
    倫理と鋏

    拳が匂わせた春
    正しいものを探しにゆこうよ
    エデンが消えた日

    さみしい宇宙と淡水魚
    ひとひらの慕情

    一等星を見失う

    猫と記憶を抱いて眠る
    見棄てたうさぎの縫いぐるみ

    海辺の刺繍跡

    惑星の虹彩
    青い爪痕
    檸檬の心臓

  3. 2013-2014


    day for night
    みんな宇宙の木端微塵
    どちらさまも救えない

    あなたの夜が満ちる窓際
    バスルームの優しき孤独

    嘘と名前を呼んでくれ
    小指の先に絡み付いたさよなら

    まやかしはきみの瞳を覗き込む
    僕は真夜中の周波数を数えてる

    永遠と永遠の眩しい午後
    蜜柑を数えて待つ子ども
    記憶たちの午睡

    世界に媚びた君のこと抱きしめてさよならを告げた

    エメラルドグリーンの孤独
    名付けられなかった境界線

         たったひとつの春に
    はじめての嘘は永遠に解けない
    つめたい頬に触れてはいけない
    こころのなかには誰も棲めない
    いたくなるのは心臓でしょうか

    なりそこないの獅子と星屑の愛
    蟠る影を踏み絵に飛べヒグラシ
    筆跡のない手紙、形あるすべて
    でたらめばかりを刻むくちびる
    君は息吹を吹き込んだ

    永遠をほどく手のひら
    眼裏の夕陽があかく燃えていたこと

    名もなき翳り
    永遠を解く掌
    或る殉教者のための祈り

    君の瞼は夢を見せない
    青褪めた君のネイルが剥がれてく
    引掻き傷を塗り込めた色彩

    明日生まれる君
    夢とは病気だ
    心配するなよ

    アナログな君を銀河の果てに捨つ
    地上を離れて暮らせぬ人類

    盲目な僕らは瞼を失くして
    世界は白く染められてゆく

    真夜中どこかで真珠が零れた
    爛れた掌で掬いあげるメテオ

    幾星霜を織る君のやさしさ
    誰かの宇宙を壊してしまう

    幾億光年あえかに瞬く
    君の瞳が見つからない